公立高校入試などの問題では、選択問題や語句を答える問題よりも記述問題の方が大きな割合を占め、その割合はどんどん大きくなっていることはご存知でしょうか?
「なんでもいいから、とにかく書いてみろ。」
けっしてひどく間違った指導とは言えませんが、とはいわれても・・・ですよね。
記述問題の答えのかき方には「型」があります。
「型」を身につけて、はじめてきれいに答えがつくれます。
わかりやすいところでもあり、もっとも出題頻度が高いところでもある「理由説明問題」について今回はお話しします。
理由説明の問題は「・・・・・・ので、~~から。」の形に当てはめましょう。これがすべての記述問題の基本です。
弊社教材では、「のでから」という解法ツールとして、理由説明問題以外でも多くの問題で活躍しています。
この「のでから」について、少しくわしくお話しします。
なお、このHP内「キャラクター集」の中にも、簡単な内容(手書きのまんが風の資料です)なのですがこれに関するものが無料でダウンロードできるようになっています。お時間のある方はそちらもご覧ください。
その資料で扱われているのは、次のような問題です。
(本当に基本的な考え方を確認するための問題なので、ごく単純な問題です。)
「りさちゃん(3才くらいの女の子)が泣いています。
状況から考えると、どうやらお姉ちゃんのゆきちゃん(7才くらい)に、またいじめられたようです。」
問題.りさちゃんは何で泣いているのか、その理由を説明しなさい。
(「りさちゃん」「ゆきちゃん」の名前は、弊社スタッフの名前からとっています。)
さて、どうでしょうか?
なんせ情報(本文)が2行しかありませんからね。
ここから答えられることは限られているような気もします。
本文に書かれていることをそのまま受けて、次のような解答例が考えられます。
答例)「お姉ちゃんのゆきちゃんにいじめられたから。」
・・・
何となく今一つな気がしませんか?その通りで、このままだと減点の対象です。
本文の内容をそのままだから、という理由ではありません。
今一つに感じる(減点の対象になる)理由、その理由をはっきりさせましょう。それは・・・
泣いているのは「りさちゃん」、だからです。
りさちゃんが、何で泣いているのかを問われていました。
泣いている理由は、泣いている本人の中にあるはずですよね。
それが本当の理由であり、それが答えられていないといけません。。
泣いてしまった理由なので、本文にははっきり書かれていませんが一般的な常識の範囲で容易に推測できます。
答例)「悲しかったから。」
(国語の問題では、このように一般的な常識から当然と判断されることを答えることも求められます。)
ですが、これでも答えとしては不十分です。
先ほどの「お姉ちゃんにいじめられたから」を落とすわけにもいきませんよね。
そこで使うのが「のでから」です。
試しに、これまで考えたことを「・・・・・・ので、~~から。」の形に当てはめてみましょう。
できますよね・・・
答例)「お姉ちゃんのゆきちゃんにいじめられたので、悲しかったから。」
これで、完璧な解答です。
「のでから」について、もう少しみてみましょう。
泣いている理由は、りさちゃん本人のうちにあります。これを「内的要因(直接的理由)」と呼ぶことにします。
この内容を「~~から。」で表します。
また、りさちゃんがいつもとは違いそのような状態になったのには、外部からいつもとは違う何のはたらきかけがあったからです(この問題では「いじめられた」)。ですからこれを「外的要因(間接的理由)」と呼ぶことにします。
この内容を「・・・・・・ので、」で表します。
ですから答えの形としては、「(外的要因)ので、(内的要因)から。」となります。
そう簡単に身につくものでもありませんが、とりあえずでも、この形に当てはめて答えを書いてみるようにしましょう。
次第に要領を得て、自分なりにつかめる部分もたくさん出てきます。
「のでから」は、「国語」だけにつかうものではありません。
「のでから」は、5教科すべてに力を発揮します。
「のでから」のすぐれたところは、①「内的要因」と②「外的要因」に整理して考えるところにあります。
例えば社会で(社会もやっかいな記述問題が多いですね)、難しいところでは「資料3,4と図4を参考にして答えなさい。」なんて問題が出ます。答えでは、「資料3」「資料4」「図4」すべてにふれていなければ完答ではありません(これは当然ですよ)。
「のでから」を使いましょう。
例えば、「資料3」と「図4」が②「外的要因」にあたること、
「資料4」が①「内的要因」にあたることと読み取れれば、答えを書くのはもう簡単です。
「②(外的要因)ので、①(内的要因)から。」の形に当てはめるだけです。
他のタイプの記述問題にも、応用させることができます。いつでも「のでから」を基本に考えましょう。
(例外的に、「英語」では②「外的要因」があまりもとめられないこと(これは解答欄の大きさから判断できることです。)。「理科」の「天体」では、話が宇宙と壮大で完全に理解するのはやはり難しいので、伝統的に理由説明の問題で①(内的要因)は免除、②「外的要因」だけ答えにすればよいということになっています。こういうのも「のでから」を基本に考えることで分かることです。)
選択問題でもこういう考え方が大いに役立つことが多いです。
選択問題って、実はシビアなんですよ。間違ったらそれで終わりですから。
覚えてる覚えてないではなく、論理的に考えられるようになると、得点力は安定します。
「なんでもいいから、とにかく書いてみろ。」、なんて言われてもどうしようもないですよね。
さきほど、この答では減点される、というような話をしました。
実は入試などでは高校によって採点基準がちがい、公立高校でも下位の方では先ほどののような答えでもかなり点数をもらえるでしょう(トップ高では、採点基準も高くなります。)
ですから、やはりとりあえず書いてみることができるようになるためにも、「のでから」のような型を身につけておくことが大切でしょう。
「なんでもいいから、とにかく書いてみろ。」なんて言いません。
「のでから」に当てはめて書いてみましょう。
以上です。
ご意見・ご感想お待ちしています。
富士宮教材開発
代表 井出真歩
「のでから」による記述問題の分析・対処法も充実した、今年度の静岡県公立高校入試対策用の「過去問解説マニュアル」もあります。
よろしければ参考にしてください。
→右のボタン、または教材の写真をクリックしてください。
(「のでから」は富士宮教材開発の登録商標です。上の画像のキャラは「のでから」を擬人化したものです。)
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